ボヘミアン・ラプソディ

ちょっと前に見たけれど感想を書いていなかった

ボヘミアン・ラプソディ」すごくせつない映画だった。

映画を見る前に様々な映画レビューで指摘されていた点「フレディのセクシャリティをあまりにヘテロセクシャル目線で描きすぎていること」には映画を見た後もずっとモヤモヤしてるし、改変したところもそうでないところも、これはまずいなーと思うところが結構たくさんある映画だった。

きちんと描かれる恋愛がメアリーとのものだけであることや、フレディが悪い男に誑かされて道を踏み外したが、家庭的な男性をパートナーを得て幸福になったような描きっぷりにはすごく違和感があった。悪いゲイに騙されたけど良いゲイに救われましたよ!ってなにそれ。大体ブライアンもロジャーもめっちゃ遊びまくってたらしいのに、そこは不問?

そもそもクイーンは不仲な時期もあったみたいだけれど、でも、基本的に仲が良かったらしいので、史実と異なったとしても無理に盛り上げどころを作ろうとしたんだろうけれど、その盛り上げ方のアップデートされていなさにクラクラ。今2019年なんですけど!

それなのに!それなのにこの映画はすごくチャーミングでせつない映画で、とてもこの映画を好きになってしまったし、きっとリピートすると思う。

それは野暮ったい脚本にイライラする気持ちよりもずっとずっと強くこの映画を見る私たちに訴えかけてくる、この映画を長い時間をかけてプロデュースしたクイーンのメンバー二人の「僕たちはフレディ・マーキュリーのことを心の底から愛していた」というほとんど叫びのような強い感情が心を打ったから。

僕たちはあの時こんな風にフレディを許したかったし、僕たちはこんな風にフレディに本心を打ち明けて欲しかった。だけどフレディはもういない。せつない。 「ライブエイドのクイーン」がどんなに美しく輝いていたか、そのきらめきをスクリーンで再現するために作られた、残された当事者たちによるバンドの歴史修正映画。

おそらく本当のきらめきには遠く及ばないだろうけれど、でもスクリーンの中にはあの輝きの片鱗が映っている。だからきっとあれを見たくてもう一度映画館に足を運ぶと思う。できれば応援上映がいいな。

ちなみにフレディの飼っている猫がとんでもなくかわいくて、最高の猫映画でもあると思う。ツアー中さみしいから猫の声だけでも聞きたいって電話口に猫を出させるフレディかわいい。